新潟県内にある民窯(官窯,藩窯に対し、一般民衆の日常実用品の焼物を焼く窯)で最も古い歴史を持つ西潟製陶所(1858年/安政5年創業)。かつてこの旧新津エリアにはいくつかの民窯があり、家庭用食器に加え、地域産業である花き園芸産業とともに、鉢の製造で大いに栄えました。
地域産業として栄えた新津の鉢製造ですが、雪国では冬の燃料費がどうしてもかさんでしまうため、安く作れる西日本産に取って代わられ廃業する窯が増えていきました。そんな中にあっても西潟製陶所では食器や鉢の製造に加え、他の窯とはひと味違う焼き物をつくっていました。それは商売繁盛を願う七福神や、招き猫といった縁起物でした。商売繁盛を支える製陶所として縁起物を作りながら、私たち自身も商売を続けることができました。
五代目で跡継ぎが途絶えそうになったところ、姪にあたる押味玖弥呼が、2016年に新津焼・西潟本陶六代目を継ぐことを決意。新たに「もえぎ陶房」の屋号を冠し、西潟に古くから続く縁起物と、新たな新津焼の魅力を発信する新しい現代的作風のもの、両軸で商品展開を行っています。